ケースレポート(症例報告)

猫の関節炎

スコティッシュフォールドの骨軟骨異形成症は猫の関節症としてよく知られています。

スコティッシュだけではなく、その系統の遺伝子を両親に持つ猫やマンチカン、ミヌエットなどでも好発する傾向があります。

“折れ耳”や”足が短い”といった形質は、遺伝的にはイレギュラーな形質でいわゆる奇形です。そのため、普通に飼育していても、歳を重ねるに連れて、関節症が発症してしまう場合が多いです。四肢の関節や腰椎以降の背骨に病変が形成され、重度な場合は、寝たきりの生活になる場合もあります。残念ながら発症してしまった場合、変形した関節を元通りに戻すことは不可能なため、生涯にわたり痛み止めなどの対症療法が中心となります。

本来ならば、そういった形質を繁殖しない!買わない!というのが動物愛護の観点からは正解なのかもしれないです。しかし未だに日本では、奇形の子たちを可愛いから!希少だから!といった理由でブリーディングし高値で取引されています。”折れ耳”や”短足”といった形質が奇形であるということをご存じないまま購入された方、五体満足な個体だと思われいてる方がほとんどです。このことについては、ブリーディングする側と購入者側での知識の共有と動物愛護の意識改革が必要なのだろうと思います。

家族に迎え入れた以上、このようなリスクとは当然向き合って行かねばならないのですが、猫は痛みを隠す動物であり飼い主が気づかない場合も多いです。

当院では、こうした猫種たちの関節症を早期発見することで、猫たちが快適に痛みのない生活が送れるようになることを願っています。

飲み薬が苦手な猫ちゃんには、1度の注射で1カ月ほど痛みをコントロール可能なお薬もありますので、お気軽にご相談ください。