ペットサロン・ペットホテル併設
福岡市博多区のめとき動物病院
今年は、子犬ちゃんの前足の骨折が続きました。
どの子も、交通事故などの大きな衝撃によるものではなく、日常のちょっとした動作で骨折していました。例えば、膝から降りようと床に着地した時や、歩いていてつまづいたなどです。恐らくそのような子たちはもともとの骨自体が脆い個体なのではと思います。骨自体が脆い個体は確かに存在します。極端に体格の小さい子や食が細い子などは要注意です。また、カルシウムのサプリメントを与えていたり、オーガニック系のドッグフードや手作り食などが主体で栄養バランスに偏りがある食事を与えている子も注意が必要だと思います。犬種では、プードルやポメラニアン、パピヨンなどは要注意の犬種です。
骨折の治療は、ヒトと同じく安静第一、場合によっては外科手術となります。動物の場合、安静に過ごすことが困難なので、外科手術を選択せざるを得ない場合がほとんどです。
骨にヒビが入るくらいだと外固定(ギプス固定)で1ヵ月ほどで治癒しますが、完全に折れてしまった場合は、手術をして骨折部分にプレートをあてがい、骨折端の安定化を図り、骨折部位の癒合を待ちます。大体1~2カ月ほどで新しい骨が作られ、骨折部分の修復が完成します。その後、骨プレートを除去するために再度手術を行います。プレートを取り除くと、プレートを固定していたねじが入っていた部分には、また骨組織が形成されていません。プレート除去後も数カ月は再骨折の可能性があるので、約半年くらいは、慎重に生活していただくようにお願いしています。実際に細胞レベルで骨折が治癒するには半年ほどかかるので、外固定が外れたから大丈夫!プレートを除去したからもう大丈夫!というわけではないのでご注意ください。
写真は、骨プレート除去後直後(下段)、骨プレート除去後14日後(上段)です。レントゲン検査では、ねじの入っていた部分に骨組織が形成されていますが、強度はまだ不十分です。
当院では、関節の損傷がない橈尺骨骨折についての外科手術は行っております。
できれば避けたい骨折ですが、ほんのちょっとの力で折れてしまう子も一定数存在するので、どうやって防ぐべきなのか?骨折しやすい個体を見極めることも困難なので、やはり、日常的に高いところの昇り降りに気を付けるなど、飼い主さんサイドで気を付けてあげることが大切だと思います。